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「ゼッケン6は黒田だよ!」
部室の中から荒北さんの怒鳴り声が聞こえた。
けして贔屓などしないし、される理由もない荒北さんに言ってもらえた言葉は嬉しかった。
でも、言ってもらえたことで期待に応えられなかった自分、負けた自分がより惨めで。
何故自分は塔一郎とインハイに出られない?
何故自分は選抜レースで負けた?
何故何故と繰り返し自分に問いかけても結果は変わらない。
全部を使ってガムシャラに走っても、ひとつ年下の真波に負けたんだ。
部室から距離を置こうとクライマー練習コースに向かう。
そこには、いつもの笑顔じゃなく、なんとも言えない顔で自分を見る真波がいた。
今一番見たくない顔だ。
こいつでも困るとかあるんだな、何か言ってやらなきゃなんてオトナな自分と。
どっか別のとこいけアホ、なんてコドモな自分がいて。
結局オトナコドモな自分になった。
「…オメデトウ、なんて言わないからな」
「黒田さんのそういう真っ直ぐで隠さないとこ、俺好きですよ」
途端にいつもの笑顔になられて、感じたのは安堵で。
「登れないと、死ぬのか」
「登れないと、死にますね」
前から気になっていた言葉について問いかけた俺に、笑いながら真波は言った。
聞いた答えの返事には薄々わかってはいたけれどクラリと眩暈がした。
今日も斜度の高い坂こそ楽しそうに、一種の狂気さえ感じさせながら笑って登っていた真波。
やはり今の自分では敵わないものをコイツは持ってる。認める。
アーァ。
「ちゃんと勝ってこい。ブッチギリで」
俺達は王者ハコガクなんだから。
不思議チャンな、食えない奴だけど。
良い返事で頷く真波に、自分なりのケリをつけて譲る。
負けて終わりなのは性に合わないから。
来年はインハイ権利を奪い返す誓いを胸に!
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